無口な手紙
wako

私達の間を
短い、短い手紙が
暗号の様な手紙が
いったい何往復した事だろう

   ひとつの文字の背後には
   何倍もの文字が群れなして
   文字にならない感情が
   行き場を失った言葉の大群引き連れて

稲妻の様に残像を残す文字が
読む行間さえない文字が
行間読めとかしこまる
逃げるように目を閉じると

   空白ではない空白が
   頬引きつらせて口ゆがめて
   射抜く視線で睨めつける
   これはただの空白か、と

私達の間を
短い、短い手紙が
暗号の様な手紙が
いったい何往復した事だろう

   触れると弾かれそうな文字を
   くり返し、くり返し
   する切れるまでなぞって
   文字は文字でなくなっていく

千の文字を連ねても
千の言葉を尽くしても
伝わらない想いが
無言でそこに


自由詩 無口な手紙 Copyright wako 2012-11-25 14:12:21
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