下らない独白
HAL
もう分かっているだろうけど
ぼくには詩を詠む才はあると
これっぽっちも持っていない
ぼくの詩は詩ではない
詩と云うカタチを借りた
ひとつの質問だし
ひとつの疑問の提示だ
それに答えてくれるひとが
いるのではないかと細い願いに縋って
言葉を編んでいくけれど
どんな言葉を選んでも
結局はこの世界への
ささやかな問いかけに過ぎない
抗議文であったり
疑問文であったり
否定文であったり
批判文であったり
するだけのものだ
そう下らない独白と想ってくれて
ぼくは全然構わない反論もしない
もちろんこれは言い訳ですらない
だからこころに響く
詩なんか期待しないでくれないか
ひとをやさしくおだやかに包む
情景描写も心象描写も
求めないでくれないか
ぼくは詩人ではないんだ
敗北すると分かっていても
言葉を武器にこのインチキな世界と戦う
どの国にも属さない
どんな部隊にも属さない
たったひとりの臆病な兵士に過ぎない
もしほんとうの詩を読みたいのなら
他の方のものを選んで欲しい
ここには本物も詩人が数人だけど
確かに存在しているから