事実
世江








いつもの帰り道。







電車に揺られながらうとうと...















夢現の中、あんたの声が聴こえて
ハッと目を覚ます。














でも、居るわけなくて。


























普段は絶対聴かないバラードを、

これまた、普段でも有り得ないくらいの大音量で流す。













中身なんか、どうでも良いんだ。





















俯いたまま目を瞑り、
ゆっくりと夢の世界に堕ちてゆく。





















零れ落ちる雫なんか、気にしない。









ただ、真っ直ぐに、堕ちてゆく。





















お決まりの機械音を聞く前に、
電車を降りる。













歩いて、







歩いて、









目的地を目指す。
























もう、目の前に光なんかなくて、




















あるのは、闇へと続く道......



























真っ暗で、音は見えない。


















光りも匂いも、聴こえない。
























気づいた時にはもう遅くて、
頭を抱え、しゃがみ込んでいた。


































“ここは、何処なんだろう...?”





















無機質に響いたその声は、
闇へと消えていく。





























時間ときだけが流れて、









私の想いだけが、


この場所に取り残されていく。























これが現実であり、
離せないこと。






自由詩 事実 Copyright 世江 2012-11-16 20:05:57
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