臭気
風呂奴

引っこ抜かれた紅葉が
真っ黒に凝固して
光る路面の上
じっとりと持ち場を離れない

南北にかかる星のアーチ
まばたきのようにパチパチ弾けて
青白い薄雲をこしらえ
光の翼を噴射している

宙づりの視線に
野良猫の細い鳴き声
空から届いたように
風に染み渡っていた

キャラメル色の胴体を
青白い月明かりに浸して
空からきこえた細い唄
ひんやりと、
冷たさだけが匂った


自由詩 臭気 Copyright 風呂奴 2012-11-14 21:06:46
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