家族 
服部 剛

駐車場に停まった
車の助手席から眺める 
スーパーの硝子の向こうで 
ベビーカーを押しながら 
おむつを買っている、妻の姿 

長い間、出逢わなかった 
二つの道が一つになっている 
不思議を思う 

親父と母ちゃんのいる
実家を離れて初めてしみじみ・・・ 
不思議を思う 

かれらの住むあの懐かしい家が 
何処かの小島に視えてくる 

一年前はいなかった 
〇歳のいのちは 
妻の押すベビーカーの中で、今 
どんな夢を見ているだろう? 

ふいに目をやったサイドミラーに 
一日の仕事を終えて、緩んだ 
ひとりの男の顔が映る 

スーパーの自動ドアが左右に開き 
紙おむつで膨らむビニール袋をぶらさげて 
妻がベビーカーを押す音が近づいてくる 








自由詩 家族  Copyright 服部 剛 2012-11-09 22:58:34
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