撃ち殺された夜に
花形新次
撃ち殺された夜に
撃ち殺される直前まで
夢を見ていた
おまえと笑っている夢だった
おまえの顔を見て笑っている夢だった
よくよく思い出してみると
おまえは笑っていなかった
おまえは笑える顔をしていたが
笑っていなかった
笑っているのは俺だけだった
俺は笑えない顔をしているのに
笑っていた
おまえの顔があまりに笑えたので
腹を抱えて笑いまくっていた
それぐらいとても楽しい夢だった
今俺は冷たい粘土層の中で思う
おまえに撃ち殺された理由が
どうしても分からない
自由詩
撃ち殺された夜に
Copyright
花形新次
2012-10-31 09:53:12
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