約束 
服部 剛

嫁さんと周に駅まで送ってもらい 
仙台行きの新幹線に乗る前 
待合室で一人になって、はじめて 
(今日で周は一歳か)という 
思いがじわり・・・と胸に広がった 

毎日嫁さんのやりくりで 
安月給の日々を繋いでいるが 
チャイルドシートに座って、にこりと 
見送ってくれた周に 
(パパ、がんばるね)と約束した 
出発の場面を思い出しつつ 
列車は闇夜を加速して、仙台へと走る 

今頃夢の寝顔をしているであろう 
周よ、パパはね 
明日仮設住宅の集会所で 
震災を越えて日々を生きる皆様に会い 
詩を読んでくるんだ 

その場に集う皆で 
瞳を閉じて、手をつなぎ 
輪になった中心に 
目には見えない種を植えよう 

いつの日か必ず 
日和山から見渡す石巻の大地に 
ひとり・・・ふたり・・・と 
花が咲いてゆく日を 
夢見る為に 








自由詩 約束  Copyright 服部 剛 2012-09-23 23:14:13縦
notebook Home 戻る  過去 未来