白い崩落
A道化




上ったら、下る、上っては、
下る、彼らが散らかっている、彼らの街で
折れてひざまずいた巨人が、ほろほろと朽ちてゆく


それは、もうずっと歩道橋に見えている
或いはそれは、もうずっと
プラットホームへの階段に見えている
けれど、散らかる彼らは
愕然とするより他にすべきことがあるとして
上っては下る、上っては
下る


皮膚、の
痣のように、広告看板の文字は翳っている
擦過傷のように、尋ね人の張り紙は剥がれている
それらは、クロスワードパズルの空欄のようでいて
ヒントも無く、共通項も無い、致命的な空白であり
彼らが解かない無数の空欄へと、白い空は崩落を始め
折れてひざまずいた巨人が、ほろほろと朽ちてゆき


崩落が、崩落が重なってゆく、彼らが埋没する、ああ、
ああ、ほら、
雪でしかなくなる


2004.12.14.


自由詩 白い崩落 Copyright A道化 2004-12-14 02:44:23
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