門
服部 剛
デクノボウのまま突っ立っていた、あの日の青年。
谷底の闇でうずくまっていた、あの夜の青年。
人間を信じられなくなりそうな
分かれ道まで歩いてきた僕に
天におられる恩師の薄っすらとしたまなざしは
青い空から語りかける
(夢を往く汝の道を、信じなさい――)
今迄長い間
目の前に立ちはだかっていた
巨きい岩が、動いた。
その入口に、あの風が吹き抜けていった
その先のましろい空間を、見据え
僕は今
開いた門の前に、立っている
自由詩
門
Copyright
服部 剛
2012-07-16 19:33:04
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