メジロのこと
藤鈴呼
メジロのことは しりとりで覚えた
目白のことは 目黒の次に 憶えた
メジロの姿は
母さんからの写真で知った
とても 美味しそうな 鴬色だ
なんて云っては
ホーホケキョ と 抵抗音が
聞こえて来そうだから
競う手前で 口をつぐむ
ツグミ そんな唇も 有った
つぐみの実を ついばむ鳥は
何て 呼べば 良いんだろう
ふさふさ の お手玉は メジロ色
山姥の 見えぬ丘で 生きている
目玉が 案外と 可愛らしいんだ
歌声の 品評会が 存在するなんて
初めて知った
山で跳んでいたメジロを
幾羽も 密漁しては
狭い籠に 閉じ込めて
啼かせる
嘆かせる
泣いて いるよ
優勝金を いただくために
飛べぬ姿になっても 関係ないから と
餌だけやれば 良いと 思っている
日本に唯だ一人
メジロ密猟ハンターが 居るらしい
捕獲した鳥達は リハビリ小屋で
三四日 過ごすんだ
最初は 枝にも止まれず 飛べぬ彼等も
自然の生活を 思い出して
いずれ 飛び立って行く
ねえ 私達には 羽根が 無い
両手 広げて 大声で 叫んだら
空は 割れるかな
世界は 遠いかな
心は 近くに 生きたいよね
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