高度資本主義社会を経て
komasen333

短くない時間 
振り返ってみれば
積み重ねてきたんだね

頼りないおつむを
どうにかこうにか
叱りながら、励ましながら
息つく暇もなく

隣の芝生を眺めて
「青い・・・」と
言葉を失くす日々も過ぎて

ぼくは僕で
キミは君で
J-POPの歌詞に沿うように
いつの間にか大人びて

あんなに大きかったはずの
駅前の高層ビル群も
あんなに輝いていたはずの
首都のオフィス街も

時代の風に呑まれて
世代の声にもまれて
静かに、静かに、薄れてゆく

何を? 
何を? 目指してきたんだろう
何を? 
何を? 夢見てきたんだろう

戦争らしい戦争
あれから一度も経験しなかったけれど
年々 
その表情
曇っていくのがありありと見てとれた

何を? 
何を? 手にしてきたんだろう
何を? 
何を? 手放してきたんだろう

残虐な殺人事件も
エンターテインメントの延長戦で同一視
悲惨な児童虐待も
報道が途切れてしまえば白昼夢同然

涙が 
涙が 止まらないよ
だけど 
だけど 零れることはないんだよ

君が 
君が 離れていくよ
不思議と 
不思議と 寂しさはもう沸いてこない

僕が 
僕が 褪せていくよ
段々と 
段々と まるで他人事のように

父が 
父が 泣いているよ
心の 
心の 中でひっそりと

母が 
母が 泣いているよ
僕の 
僕の せいで今も

朝が 
朝が やってくるよ
それでも 
それでも 昨日と同じ透明感で

声が 
声が 聴こえてくるよ
もうちょっと 
もうちょっと
この背中を そっと押すようにして


自由詩 高度資本主義社会を経て Copyright komasen333 2012-06-19 14:55:33
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