敷き詰めたドア
komasen333

届かない、届かない 
嘆きながら    
どこかでそう願っていた
届かない、届かない 
叫びながら    
どこかで居心地のよさを感じていた

わかれることもなく
漂うこともなく
過ぎ去っていった心象風景ごと

届いてほしい 
届いてほしい   
どこまで本気だったのかな
届いてほしい 
届いてほしい   
いつまで本気だったのかな

ぶつかることもなく
浮かび上がることもなく
過ぎ去っていった心象風景ごと

季節が高らかに終わりを印象づける
そんな雨を盛大に迎え入れたのは
遠い遠いあの日と同じ

穢れなきはずの身や心は
盛大に揺らめき始めている   
歳月に抗うように

どこまでもいってみよう
いつかのドアの向こうに敷き詰めた
盛大な幻想畑   
今、整然と仮想の彩りを僕の瞼にだけ
焼きつけるように手を振っている

いつまでもいってみよう
どこかのドアの向こうに敷き詰めた
壮大な幻覚畑    
今、雑然と仮象のゆらめきを僕の瞼にだけ
焼きつけるように手を振っている

新しき懐かしの朝が
モノクロめいていた高みの過去に
セピアめいていた儚なさの過去に
色取り豊かに降り注いでいく

夢、投げ捨てようと
腐心していた昨日までを
塗り替えるように 染め上げるように          未来まで続く
透明な螺旋を広げる新しい朝

悩みにも乱れにも
苦しみにも急降下にも    
嘘みたいな微笑が付随し始める
すべてが現象に過ぎないのと
温かく
言い聞かせてくれるような
ゆらぎによって引き上げられていく

どこまでもいってみよう
いつかのドアの向こうに敷き詰めた
盛大な幻想畑へ   
今、整然と
瞼の奥から抱きしめるような気持ちで
手を振り返す

いつまでもいってみよう
どこかのドアの向こうに敷き詰めた
壮大な幻覚畑へ    
今、雑然と
瞼の奥からキスするような気持ちで
思いっきり手を振り返す


自由詩 敷き詰めたドア Copyright komasen333 2012-06-09 18:40:42
notebook Home 戻る  過去 未来