ぷーぷーちゃん
永乃ゆち



小さい頃ボロボロの毛布をいつも持ち歩いていた

名前はぷーぷーちゃん、と言った

幼稚園に行く時もお出かけする時もいつも一緒だった

小学校に上がる時

「もうおかしいからね?」

という理由で棄てられそうになったが

断固として拒否した

ぷーぷーちゃんと私はいつも一緒だった

両親は共働きで顔を合わさない日もあった

そんな中ぷーぷーちゃんだけが私の頼れる存在だった

母であり父であった

また友達でもあった


小学校三年の時妹が産まれた

「もうお姉ちゃんなんだからね?」

という理由でまた棄てられそうになった

今度は拒めなかった

私の宝物は妹になるんだと思ったからだ

しかしそれは間違いだった


両親は妹を構うのに忙しく

私は余計に孤独になった


ぷーぷーちゃんを想って毎日泣いた

妹を憎らしく思った


けれど数か月もすると私はぷーぷーちゃんの存在など

すっかり忘れ、友達と毎日笑って過ごした

妹の事もあまり関心がなくなった



あれから何十年という月日が流れた

今思い返してみれば

私は未だにぷーぷーちゃん以上の存在に出逢えていなかった

無条件に私を許し

私だけを愛し

包んでくれる存在に



もう跡形もなくなってしまったぷーぷーちゃんは

星になったんだよと父が言っていた



私は夜空を探す

恋人を探すかのように


あの頃あんなに大好きだったぷーぷーちゃんと離れ

ひと時その存在を忘れ

大人になり孤独を感じて思い出す



罰が当たったんだ

いつも味方になってくれたぷーぷーちゃんを

忘れてしまっていた事に


私は今夜も夜空を探す

失くした恋と

失くした友達を見つけようとして



自由詩 ぷーぷーちゃん Copyright 永乃ゆち 2012-06-04 21:20:32
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