養鶏場の背景・工場処理の紅花油
高濱



二十一世紀初頭を繰り返す狂人たちの病院に狂ったわたしたちの心臓が拍動しています。
わたしにはこの世界のすべてが一個の巨大な丘陵病院に見えるのです。

医師は何処に行ったのでしょう、彼らの病院は何処にあるのでしょうか。わたしたちは取
残されて、メシアの再来を信じています。それはどれも真実であり、嘘でもあるのです。


饒舌は罪でしょうか、
羊と狼の混血児が見世物小屋に飼われています。
あの蝸牛の様な顔をご覧になってください。
まるで渦巻でしょう、眸は鰈の様です。

鳩の卵を割る紳士のスープ皿には、
黄緑色の模様がありそれが羽化する筈だった
蝶を磨り潰した物だと解ると、
偏執狂染みたその両眼から、
次々に羽ばたく瞼の様な食事ナイフ。

窮屈な部屋に閉じ込められて、
窓を探す青年の背中には
腕が伸びており足下の骸骨を
指差している。




自由詩 養鶏場の背景・工場処理の紅花油 Copyright 高濱 2012-06-04 02:01:10
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