短歌二篇
佐藤真夏

一、告白



飛行機が頭上を通りすぎている さよならのなか密かな発作



骨の間を縫うように飛ぶ飛行機に印字する風 わざと会いたい



透明に傾き無色の戦場を駆けてかならず君をたすける






二、忘却



からだじゅう耳をあてるとロッカーのひとりでに開く音がきこえる



耳栓をあげたい今日は耳栓をあげたいわたしを忘れてもいい



だれですか砂いいえ灰わからない肌わからないわからない火も



いくつもの過去が佇む目のなかに温度を変える水銀がある



たんぽぽを手折って渡す綿毛ではなくても吹くね ゆれてうれしい



短歌 短歌二篇 Copyright 佐藤真夏 2012-05-26 02:29:24
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