道草の花 
服部 剛

乗り換えの駅で、旅の電車を下りた。 

無人駅の小さいホームから 
遠くに重なる山々の 
西へ伸びる線路を往くか? 
東へ伸びる線路を往くか? 

(次の電車まで、あと1時間・・・) 

この駅にはいつか来たような 
あるいは初めて来たような 
ふたつの心が重なっている 
少々不思議な、旅のひと時。 

こうして遠い空の下までやって来ると 
日頃は身近な両親や
僕に微笑む妻子までもが 
不思議な人達に視えてくる、旅のひと時。 

待ち時間に暇をつぶした 
畑の道の傍らに 
今にも歌い出しそうな 
黄色い花の蕾に耳を澄まし  
春の日向に、しゃがんでみる 








自由詩 道草の花  Copyright 服部 剛 2012-05-24 23:18:40縦
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