松島・石巻小品集ーおくのほそ道をゆくー 
服部 剛

松島の丸い湯ぶねに身を浮かべ 
きらりと笑う枯葉舟かな 

さやさやと幹に映る光と影は 
旅する我の心鏡しんきょうとなり 

歓びをそらいっぱいに広げてる 
白、白、白の木蓮の花 

蟻々の働いている石段を 
登ってゆけばあかるい神社やしろ 

門前にでんと坐った石蛙 
日をそそがれて目玉は潤み 

御仏は瞳を閉じて、目をあわせ 
くさむらに立ちよろこんでいる 

松島の海にはばたく鴎達 
自由をうたいあぁあぁと鳴く 

ゆらゆらと身をゆらしてるほそ柳 
又三郎が、あらわれそうだ 

電飾の豆らんぷ等と思ったが 
真昼の椿の葉群であった 

つくし等は寒そうに震えているけれど 
茎はまっすぐ天を指さす 

しゃかりきに眼下を横切るありんこに 
「がんばれよ」と言い、我は歩まん 

旅先の日和の山を巡りつつ 
桜のつぼみと夢を語らん 

亡き人よ、地上に立った僕達は 
肩を並べて第九を詩う 

目に視えるすべてのものが、詩なのです。 








自由詩 松島・石巻小品集ーおくのほそ道をゆくー  Copyright 服部 剛 2012-04-27 23:59:39縦
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