まなざし 
服部 剛

お年寄りの入浴介助前に 
同僚のU君が着替えた後はいつも 
僕の下の引き出しが閉まらないまま 
脱いだ衣類が、もりあがっている 

引き出しを開けるたび 
骨が折れるが 
日頃の僕にも気づいていない 
(もりあがり)があるかもしれない 

日々こつこつ働くU君が 
脱いだ服のもりあがりを 
小さい心でゆるす時 
ふと、背後に感じる 

日々不器用に生きている僕を
すでにゆるしてくれている 
もっと寛い(何者かのまなざし)を 








自由詩 まなざし  Copyright 服部 剛 2012-04-19 23:48:45縦
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