ひとりの木 
服部 剛

僕の前に、一つの丸い窓がある。 

春の嵐にずぶ濡れて 
身をしならせながら、葉をきらめかせ 
必死の思いで立っている 
ひとりの木 

それは今夜も 
世界の何処かでえそうな 
君の心の闇を見せる 
ひとりの木 

手の届かない窓越しで 
只、突っ立っている僕は 
(折れるなよ・・・)と呟いた 

丸い窓越しに立つ、ひとりの木は 
明日の雲間から射す日を全身にあびるだろう 

諸手もろをあげて天を讃える人のように 
歓びの枝を無数にひろげて 








自由詩 ひとりの木  Copyright 服部 剛 2012-04-09 22:22:55
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