花巻の宿にて 
服部 剛

旅の時間に身を置くと 
宿で食べる朝食の 
目玉焼きの黄味や
納豆の一粒までも 
電球の日に照らされて
嬉しそうに皿に盛られているのです 

小皿には仲良く並んだらっきょうの間に 
もうひとつの小さいらっきょうが挟まれ 
我が家に残してきた妻と子と僕の 
3人のようであり 

ふと見上げた向かいの席は 
若い夫婦と幼い娘で机を囲み 
食後のお茶が3つ 
ゆらりと湯気を昇らせています 

窓外に広がる銀世界を背にして








自由詩 花巻の宿にて  Copyright 服部 剛 2012-03-24 21:53:07縦
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