かなり長いシュート
はるな


はずかしいことや
はしたないことを
たくさんしてきて
じゃあ今からなにか新しいことを

思ったときに
なんだかひどく
疲れてしまったなと
思った

スカトロジーは愛と同義だ
と熱弁する
友人がいて
僕は僕の愛を他人に強要しないけど
でも知ってほしいとは思うね
だって
でも
うんちっておいしくないでしょう?
と聞いたらば
おいしいから食べているわけではない、
そんなの、
快楽のためだけにセックスするのと同じくらい
むなしい考え方だよ
と嘆くので
わたしは
セックスは快楽のためだけであっても
別にいいなあと
思う
ビールを飲む
じゃあわたしのうんち食べる?
と聞くと
それをしてうれしい?
と聞かれるので
べつにうれしくはないかも、気持ち悪いね
と答えた
もう、
なにかを新しくはじめるのにも
理由がいるわたしには
ほとほと疲れてしまって
うんこ食えばいいのか?
とか
二時間ほど話したら
朝だった

朝、
新宿は汚物にまみれて
それが朝、
汚物にまみれながらも
昨日をきれいさっぱり追い出した今日
今日、
白粉のはげた頬を日にさらして
おもたい胃のなかの昨日を吐き散らす
朝。

他人という距離は
とても退屈で
すぐに死んでしまう
屋台の金魚みたいだ

それなのに手にいれようとしてしまう

たとえば先週
コーヒーショップで
禁煙席に座ったら
煙草やめはったんですね

笑った男のこと
セックスくらいなら
してもいいかなとおもう
それはぜんぜん
あたらしいことでもないし
共有でも
ないから
かるい
きもちで
疲れることも
なく

ただどうして
そのたびに
夜よなかの太陽を
おもいだすのか

時間というものを
失うわけはないですよね

相談したら
あの
やぶ医者はまた
わたしたちは常にあらゆるものを失うことができます、

微笑みながら
言った
糞めが
失うことが
できるって
何も
持ってないのに
どうして



自由詩 かなり長いシュート Copyright はるな 2012-03-19 00:38:30縦
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