言葉のゆげ 
服部 剛

震災から1年の3・11に復興を願い 
仙台で行われた朗読会の前 

主宰者の南ダイケンさんは 
「これ、心ばかりですが・・・」と言い
直筆で「謝礼」と書いた
白い封筒を、僕に手渡した。 

夜、一人になったホテルの部屋で 
封筒の中をつまんで取り出す一枚の紙から  
暖かいゆげが出ていた 

それは3年前に僕が都内で主宰していた 
「ぽえとりー劇場」に 
はるばる仙台からやって来た
ダイケンさんが朗読した時 

素朴なラーメンの詩を書いた紙と 
彼の訛った言葉から 
闇の静寂しじまに昇っていた 
あの日と同じ、ゆげだった 








自由詩 言葉のゆげ  Copyright 服部 剛 2012-03-17 23:43:59縦
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