グーチョキパー
あおば

                         120229




ぐちゃぐちゃな画面をワイプするようにバスの轍が汚れた雪を掻き集めては押し広げて長靴の歩行者を呼び集めては轢き倒すスニーカーの中年を忌避しているような昼食は少しだけ腹に凭れ
これからもう一膳のノルマを果たせるか否かが本日の吉凶を占うのだと
識者の唱える美しいニッポンの虚像を想起出来るか否かは閏年に任せ
人口減少期の文字に過度に反応する放射線半減期のコンプレックスをあざ笑う暇があったら
除雪にも協力して欲しいのだが
通行止めの標識を押し倒して走り去る車のナンバープレートの文字が牡丹雪に滲んで読み取れないのは想定内のことと拳骨を拡げチョキを出したところ
グーを突きつけられたので、ぐちゃぐちゃな雪を踏みしめながら電車の見えるところまで行く羽目になった
残雪という文字を頭に描き牡丹雪を仄かに染め
スランプ街道(道幅僅か90センチ)を辿る


自由詩 グーチョキパー Copyright あおば 2012-02-29 13:12:27
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