夢の朗読会 
服部 剛

38度の熱が出て、楽しみだった 
僕の出版記念朗読会が、中止になった。  

数々の再会の場面が夢になり・・・
僕は今、ふとんに足を入れて 
ランプの灯を頼りに、この詩を綴っている 

あぁせめて
今日の集いを楽しみにしていた皆が 
ぽっかり予定のあいた空白の時間に 
恵みのひかりを注がれますように・・・ 

ふと見上げると、嫁さんが壁に貼った 
ポスターで眉間に皺を寄せて 
頬杖をつく遠藤先生が、呟いた  

「−と思う出来事の中にこそ 
 +の種は潜んでいるのだよ」 

その言葉を信じて僕は 
巷にかぜの菌達が牙を剝き 
北風に舞う冬の季節を越えて 

陽ざしに蕾のひらく春に 
再び集う皆の笑顔がひらく場面を夢見て 
ふとんを被り、ランプを消した 








自由詩 夢の朗読会  Copyright 服部 剛 2012-02-26 21:17:01
notebook Home 戻る  過去 未来