あおば



                 120222


すべての動物は静物園からやって来たのだと二人の男が決めつけた
男は一人いれば充分なのだから
一人は男のふりした紛い物であろうと冷静な観察者には自明なことも
喧噪の巷で今日を生きる物には分からない
二人がやって来たのは静物園の手前のがらんとした街の外れにある古ぼけたビルの地下室
そこで朝から夕方までを眠り
ビルの作業場で働く人々が帰宅するのを待って起き出しては
この街にはろくな若者が居ない
夕方になると誰も働こうとはしないと決めつけている
今でも眠っている二人の寝息が交互に規則正しく聞こえてくるようだが
紛い物も本物もどちらも見ただけではだれも判別できないのに
冷静な観察者には自明なことが理解できないままに深夜の星は瞬き続け
疲れを覚え眠くなる頃に暁時を迎える






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、斎藤さん





自由詩Copyright あおば 2012-02-22 13:31:22
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