動物園
あおば

                 120218



博物館に向かう途中
遠くに動物園が見えると聞き
そのつもりで左方向を眺めたが
生憎、整備工事が行われていて
遠目が利かない
それどころか
絶え間なく狭められた通路を往来する人々の群れが
攻め寄せて来る障害物に感じられてならない
遠くに見えるはずの動物園が見えないだけで
こんなに不安を覚え
いっそのこと
もう一度駅前に戻り
真っ直ぐに動物園に向かおうかと思ったが
今日は博物館に行かなくてはならない
動物園は何時でも訪れることが出来る
その証拠にパンダもいるだろう
リンリン、ランラン以来40年、代々住みついて
今では主のようになっている
主は何処にいるか分からなくても
確かな存在感を感じさせるものだ
この森の奥にパンダが住みついて
揺るぎない主となって
近くを通り過ぎるものは無視できない存在となっている
例え工事中で
煩くて遠目が利かなくも
主の目はこちらの背中を見据えているだと感じ
大きなタメイキと共に駆け出したくなるのを我慢した




自由詩 動物園 Copyright あおば 2012-02-20 15:54:58
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