シマノフスキーの調べ
吉岡ペペロ



現代音楽のようでいて

懐かしい旋律も現れたりする

シマノフスキーにはそんなピアノ曲が多い

冬の夜に近い朝

外灯は暗い空に圧されるように

地に貼りついていた

柔らかな天地の香り

宇宙から与えられたぼくの肉が

ひそかな歓喜になじんでゆく

職場に向かう者たちは

あるいは家路を辿る者たちは

きっとこの連帯を感じていることだろう

シマノフスキーのピアノ曲が

深夜よくラジオから流れていたことがある

昭和さいごの冬だった

シマノフスキーを聴きながら

あのときも連帯を感じていた

人一倍悲しいことがあったくせに

不器用で世間知らずのぼくだったから


携帯写真+詩 シマノフスキーの調べ Copyright 吉岡ペペロ 2012-02-10 07:25:01
notebook Home 戻る