正義の味方 
服部 剛

ふいに巻き起こる北風に 
働くおばさんの手にした 
書類は飛ばされ 
ガードレールの下から 
川へと落ちそうなその時 

ほっ!と短い足が出て 
サラリーマンの
きらりと光る革靴から 
拾い上げておばさんに手渡す 
頭の薄いおじさんは、正義の味方 

ウルトラマンのように 
空の上から飛んでくる 
ヒーローなんぞには 
そうそうなれるものではないが 

短い足をほっ!と出す 
あのおじさんみたいに 
何の変哲もない、正義の味方なら 

この街をゆく群衆の 
あちらこちらに隠れている気がして 
なんだか少しほっとした僕の口から 
白い吐息が、宙に昇った 








自由詩 正義の味方  Copyright 服部 剛 2012-02-08 23:48:27
notebook Home 戻る  過去 未来