エフビー・シンドローム
たりぽん(大理 奔)

年賀状が届かなかった
そんな知り合いたちが増えていく

高校時代にはじめて付き合って
胸かきむしるように別れた女性から
朝食のサブウエイにいいね!って
そんなに乾くほどの時間が過ぎてしまった

あいつが死んでしまったときに
連絡がつかなかった後輩から
見つけました!って18年ぶりのメッセージ
伝えたかった訃報はもう何年も前で
心配してたよって返すのがせいいっぱいで

昨日の居酒屋で燻されたマフラーから
煙草の香りが消えてしまい
いつかはみんな言葉だけになって

伝えたかった言葉が
自分という井戸の底をのぞく三日月になって
揺らめきだけを縁取る

つながることがすばらしいことだと
思い出すように、つぶやくだけなのに


自由詩 エフビー・シンドローム Copyright たりぽん(大理 奔) 2012-02-04 22:56:39縦
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