ひかりの人
服部 剛
深夜の海で独り船に乗っていた
やがて風は強まり、波はざわめき
震える両手をあわせ、必死に祈った
遠い暗闇からひかりの人が
こちらへ、歩いてくる
ずっと昔から私をみつめる目が
こちらへ、近づいてくる
互いの目をあわせる時
風は止み、波は凪ぎ
船の揺れは治まっていた
(こちらに来なさい)
ひかりの人の言葉が
胸に、響いた
船から離れた場所に立つ
ひかりの人の待つ方へ
私は船からそっと、足を踏み出す
自由詩
ひかりの人
Copyright
服部 剛
2012-01-20 02:52:45
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