午睡
subaru★

眠りの舟は行き先を天に託す
私は知らぬ間に
川のほとりに
抜け殻を置いて

サラサラと流れる小川を
一人 小舟を漕ぎ始めた
春風に押されて

もの欲しげに
小舟を見下ろす
タンポポの綿毛が
我慢しきれず
春のクシャミで飛ばされる

川のほとりに
取り残された
白の多角形が負けじと
乱反射を吐き出して

その一つだけの光を
私は夢中で追いかけた
行き先を知りたい

光は何一つない場所へ招かれ
また一つ新しい街が生まれた
それが春の営みなのだ

歌が流れ 涙が流れ 時が流れ
流れに沿って小舟は
行き先を天に託す

小舟の上で受ける微風そよかぜ
強い眠りを誘う
それは人肌に触れ合う暖かさ
身を預けたくなる陽だまり

おだやかな風が
私のまぶたを落とす
再び目を見開いてみれば

『夢中』から醒めた私が一人
いつものデスクで頬杖付いて
我に返る 午後のひとときだった


自由詩 午睡 Copyright subaru★ 2012-01-17 15:00:57
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