上昇螺旋
komasen333

誤魔化すのはなしさ
これ以上はなしさ
さあ 君は君をもっと信用して   君は僕をもっと信用させて
さあ 君は君をもっと活用して   君は僕をもっと惹きつけて



落込んでばかりだった
半径20メートル四方でぼくは気まぐれに引きこもり
今日もそんな風に閉じていくものとばかりに思っていた



ところが、ところが
明日をあの頃みたいに
元気のあったあの頃みたいに
輝き溢れていたあの頃みたいに
鮮やか零れていたあの頃みたいに 描き出した途端に今日が最後の最後で引き上げられていく



上昇螺旋が見える
竜と気流とキラメキと戯れるように昇っていく螺旋がはっきりと見える 
はっきりと描いていける  


こんなのってどれくらい久々だろう
こんなのをどれくらい忘れていたんだろう



今からでも間に合う
今日の最後の最後でも間に合う


この感覚を逃さない
この感覚を逃してはならない


勢いのあるうちに
勢いの溢れるうちに


勢いのあるうちに
勢いの零れるうちに


上昇螺旋  途切れ知らずの上昇螺旋
上昇螺旋  絶え間なく紡がれる上昇螺旋




ときどき立ち止まる
なんでこんなに上昇なんだろうって


その立ち止まりはときに果てしなくて止めどなくて
なにもかも投げ出したいほどにもなって


それでもまた戻ってくる
上昇へ向けて、上昇の只中へ



そして ふと、また思い浮かんでくる


どうして僕らはこんなに見上げるんだろう
雲を、蝶を、飛行機を、鳥たちを、太陽を、飛行船を、月を、空中都市を、空を、ロケットを、星を、銀河を、宇宙を


どうして僕らはこんなに描くんだろう
雲を、蝶を、飛行機を、鳥たちを、太陽を、飛行船を、月を、空中都市を、空を、ロケットを、星を、銀河を、宇宙を


どうして僕らはこんなに惹かれるんだろう
雲に、蝶に、飛行機に、鳥たちに、太陽に、飛行船に、月に、空中都市に、空に、ロケットに、星に、銀河に、宇宙に



見上げては描き 描いては見上げ
目指しては見上げ 見上げては目指し          
貴方がそこにいると 心の底から信じられた時代からの名残なのかな


その存在は、なんだかんだ言っても未だに秩序的であり、それ以上に混沌的であって
でも、その存在をはっきりと葬るには  まだ僕ら  心もとなさすぎて、寂しすぎて




その存在を通じて、分かり合えなくなることは数知れなくて
それ以上にその存在が、分かり合えるような媒介となることも数知れなくて




認め合うとか、信じ合うとかを分けてきてくれたのは事実で
分かち合うとか、譲り合うとかを伝えてきてくれたのは事実で




まだ、葬るのは、僕ら全体の描く完全を葬ることにどこか等しくて
まだ、葬るのは、僕ら全体の描く究極を葬ることにどこか等しくて
まだ、葬るのは、僕ら全体の描く理想を葬ることにどこか等しくて




そんな葛藤を繰り返しながらも
やがてはそんな葛藤という意識も薄れていくときは来て



それでも見上げ続けていくかぎり
貴方の存在をどこかでかすかに信じ続けていく気もして


自由詩 上昇螺旋 Copyright komasen333 2012-01-06 10:46:38
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