フェイク・スリーピングバス
komasen333

隣に座った      ちょっと久しぶりに
隣に座ってくれた    ちょっと久しぶりに
緊張して慌てて     なんでもない すまし顔モードへ


ドキドキ速くなっていく
ときどき伺おうとする
なんとなく感じる視線
なんとなく戸惑う心象


窓ガラス側の弱虫はイヤホンで世界観を作ります
その視線が嬉しくて
その視線がそれ以上に怖くて


いつでもかけてくれれば紳士的にお応えます
いつでもかけてくれればやさしくお応えます
密かにそんな態勢でいるのです
ただ言えないだけです
さり気ないアイコンタクトが上手ければなあ と思う今日この頃です
ただ伝えられないだけです
さり気ないスマイルが上手ければなあ と思う今日この頃です


窓ガラスは幹線道路を切り取りながら
座るこちらよりの横顔をほのかに映します


ときどき  こちらを向いています
ときどき  こちらを向いてくれています
ドキドキ  はっきりとは確認できませぬ
ドキドキ  はっきりと振り向くのなんてもってのほか


淡く浅い妄想通学バス
いつまでも1人高揚   いつまでも1人勘違い  
それでもなんとなく自信は右肩上がり


淡く優しい妄想通学バス
時折1人スカイ・ドローイング   時折1人フェイク・スリーピング  
それでもなんとなく確信は右肩上がり


誰かにいったところで信じてもらえないだろうけど
感じるのです
確証はなくとも
その視線がときどき   こちらへ注がれていることを   なんとなく
その視線をときどき    こちらへ注いでくださることを   なんとなく


高鳴るのです ドキドキ   こちらへ微かでも注がれるたびに
高鳴るのです ドキドキ   こちらへ微かでも注いでくださるたびに


全部全部   幻想だとしても    割り切れぬほどこちら向きの視線なのです
全部全部   妄想だとしても    割り切れぬほどこちら向きの横顔なのです


髪をかくふりして振り向くこともできない   生憎の弱虫です
時計を見るふりして振り向くこともできない  生憎の弱虫です


何1つかけることも注ぐこともできない身ですが
何1つかけることも応えることもできない身ですが


実は、心から紡いでいます    見えないように聴こえないように
実は、心から発信しています   溢れんばかりの透明な想いを  
   

あなたが隣に座ってくださるたびに  密やかに


自由詩 フェイク・スリーピングバス Copyright komasen333 2012-01-04 09:28:01
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