絵の世界へ 
服部 剛

今日、天は私に 
新たなる日々の舞台を与えた 

「12月から服部君がうちに来ます」 
会議で所長は皆に、言った 

「これからの現場をつくる1人になりたいです」 
密かな決意で、あいさつをした 

ひと時、暖かい拍手に包まれながら 
私は武骨に、頭を下げた。 

帰りの下駄箱で 
私は礼を言いたかったが、何故か言葉が出なかった 
所長も何か言いたげだったが、言葉を胸にしまっていた 

今迄道草をしていた10数年は 
今日へと至る 
長い回り道であった 

これから幕を開ける 
舞台の上で 
私は私という役を演じるだろう 

日常の素朴な場面が 
一枚の絵画に生まれ変わるように 
目の前にいる隣人に 
私は自らをまっすぐ捧げる―― 








自由詩 絵の世界へ  Copyright 服部 剛 2011-12-07 23:58:22縦
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