風の塔 
服部 剛

世の人々が何処までも積み上げた 
バベルの塔が崩壊した後 
全てが消えた荒地の空に 
崩れることなく 
透き通ったまま立っている、風の塔 

全ての者が去った後 
たった独りで荒地に立ち 
風の塔の輪郭を 
じっと見据える者がいる 

あなたは何を問うている? 
虚空の一点に穴が開くほど 
じっと視つめるパスカルよ 

やがて荒地の歪んだ地平に陽は沈み 
暗闇に覆われる夜の淵にも 
燭台に踊る小さい炎が 
彼の頬を照らしている 








自由詩 風の塔  Copyright 服部 剛 2011-11-29 23:03:25
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