空を飛ぶより楽しいこと
あおば

              111016



経営陣は一連の不祥事の責任を取って速やかに総辞任いたします
朝になるといつもの顔ぶれが胸を張って正面玄関にやって来る
あれは単なる夢だったのかと思う
チャオプラ川を下るとアユタヤの工業地帯が拡がり
未曾有の洪水に操業を停止して回復に大わらわだと報道は伝える
昔、アユタヤには神通力のある仙人が住んでいて
洪水だろうが台風だろうが一吹きで復旧させたという
野党の党首発言のような超能力を発揮したのだろう

あなたのルーツは九州の熊祖だと言われた
関東の出だから少し遠すぎると思ったが
顔つきが似ているのだと言い張る
貧しいから関東にまでやって来て
住みついたのか
ことばも全く覚えていないし
土地勘もない
今では九州は遥か遠いところとなり
帰るところなどはどこを探してもないと思いたい
日本製のソーラーカーに乗って
東回りで地球を一周するのだと
小学生が地球独楽をぶん投げるから
太陽電池が働く昼間は好い子になって
快調にぶっ飛ばすが
単結晶の従兄弟はアバウトな振りをして
自転車に乗って図書館に借りた本を返しに行く
返却期限を1日遅れていたが
なにも言われなかったので
月遅れの雑誌を一冊借り
郊外電車の線路際の喫茶店で一気に読んだそうだ





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、コーリャさん



自由詩 空を飛ぶより楽しいこと Copyright あおば 2011-10-16 19:50:11
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