夕暮れの坂 
服部 剛

ある画家の内面を映し出した 
目の前のキャンバスには 
ふたりの男が描かれ 

荷車を曳く者と 
荷車に乗る者と 
ふたり共、哀しく頬がこけている 

その画家は 
「生」という題を名付けた 

重たそうな足どりで 
ゆっくり上る荷車の 
不思議と美しい世界の中を  
夕空へ伸びる――ひとすじの坂道 








自由詩 夕暮れの坂  Copyright 服部 剛 2011-10-11 23:25:54
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