フランソワ
茶殻
お姫様の人形を汚すこどもたちの笑顔
まちが健全か否かを計るすべを知るために
/仮にその娘をフランソワとする
フランソワには許婚がいて
実の父と母よりもふさわしい親がきっとどこかにいる/
開きっぱなしの水道が砂に川を造る
さまざまなボールがもう一度転がる時を待っている
/フランソワの部屋にはたくさんの本がある
それはフランソワが姫だからであって
姫のための音楽や姫のためのドレスも変わらない/
世界は処女じゃないと思う
けれど世界はもしかして童貞ではないかと疑うこと度々
/硬くなった火を見つめていて
フランソワは続いていく時間の速度を
首筋より先には伸びることのない髪に問う/
公園のゴミ箱に少年は拾ったセミの抜け殻を投げ入れる
スローモーションで重力に招かれる夏は地球の自転の向きに従順
/指輪をはめてみる
陽光にかざす
フランソワにはただそれがまぶしい/
「天使たちは白人の成分で出来てるから
俺たちには何を言ってるのかさっぱりなのさ」
/子供たちはそれぞれにいつか革命を起こす、季節を破壊する
フランソワがそのときどこで泣いているのか
僕にも思い出せたことではない/
読み捨てられた雑誌のなかで裸の彼女は人形を象る
こうもりの森にやがて捨てられるフランソワの頬に伝う朝露
/テレビも消した
パソコンも消した
あくまで偽悪的に孤独の音がした/
//孤独の音がした//
自由詩
フランソワ
Copyright
茶殻
2011-10-07 22:36:35