ボタンを押したら(改作)
あおば

            111003


予定調和の気分のままに
あれがマンダラこれがキナコと
笑い出す
ひどいものだね
ツクツクホウシ
ボタンを押したら
お別れねと
9月末には居なくなる
機嫌良く
フルタイムの
レコーダーと
ベルト付きの滑り台が
嫌われ者を奈落に運ぶんだ
ろろじゃらじゃらこちゅん
なにかに縋って転がる
今日も舌先三寸の商いを繰り返しているが
仕立屋の
キンジロウ爺さんは忠実だったと
起きあがり小坊師のように呟いている声がして
賑わう食堂から立ち昇る明治の薫りに
汚らしい格好の私たちは
ドアを開けることも出来ないね
ボタンを押して一足飛びに
夜逃げして
放射線を少しだけでも落としてから
いつかここに戻れる日をねがっていよう
あれがマンダラ
これがキナコ
微粉末の可笑しさを
膝に貯めるな
グラニュー糖


自由詩 ボタンを押したら(改作) Copyright あおば 2011-10-03 15:32:04
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