シンドローム
三上あず

その声でいくら呼んでも
けして届くことはない
ここは夢の中だ

有限な大きさの球体に追われても
濃くなる暗闇に突き落とされても
肥大した意識の中に閉じ込められても
けして声を上げてはいけない
気付かれてしまう

目覚め方を忘れて
どのドアも君を逃がしたりしない
君を追うものが何か知ってる?
後ろを振り向くこともできないのに



跳ねるように飛び起きて
冷えた水を飲み干す君は
きっと安心しているだろう
さあ後ろの正面だぁれ

目覚め方を忘れて
どの窓も君に朝日を連れてこない
何が夢か知ってる?
君は目覚めてもいないのに


自由詩 シンドローム Copyright 三上あず 2011-09-29 01:57:21
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