いつか花咲くDNA
あおば

             110920





ケッ! 右肩上がりの統治下の真昼の決闘が
出鱈目な紛い物と知っているのに
筋書きを少しだけ書き直しての再上演
力道山が空手チョップの代わりにマシンガンを撃つたびに
60年は耐えられるはずの煉瓦塀に罅が入る初期微動が10秒間
その間に机下に潜って冠を正せと正史を糾したと
得意顔のスプートニクが96分で地球を1周すると
これまた満面の笑みをたたえたような得意顔の曲面ガラスを光らせて
57年式のオート三輪車が横町の角から顔を出し
方向指示器を点滅させては
矢印のアポロの時代は過ぎ去ったと
うさぎの耳を引き裂いて
裏の川に捨ててゆく
世はまさに宇宙時代の到来と
中学生は希望職種を特急列車の運転士から
アストロノーツに急変更した
それを笑う者は
今では誰もいない
そう
それからと
愛の手を撃つたびに
真志願高校が
マンシガン高校になったような気がして
道路脇に一次停車してはグーグルアースの角度を変えるので
本年度から採用試験には時事問題を五肢択一形式に変更しましたのメッセージを見逃したA君は、コンビニプリントの常用漢字表を見つめては書き取りを繰り返している
21歳にもなって常用漢字をすべて書けないのはあまりにもみっともないと本心から思っているので5分の暇でも書き取りを繰り返す
一昨日などは、ケータイの漢字変換機能は直ちに廃止した方がよいと教室の後ろで叫んでいたが
今日、キャンパスの庭の隅の蓄積から
鶺鴒の羽根のように5色に輝く物体が這い出てきて
まだ遺伝情報を書き換える段階に至ってはいないのだとの
世代交代を告げるベルの音が鳴り続けているのを無視しているのにも気がつかず
満面の笑みを絶やさない3D合成イメージに気を取られ・・・・・・
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残念ですが7発目に命中したので合格には至りません、交通費をお渡しいたしますので、左側のドアからお帰り願います。<右のドアを開け>お待たせいたしました、次の○○○番の方、速やかにご入室願います。
何処かで聞いたような下手なセリフを打ち込みながら
2次面接まで辿り着いたことはないが、エアーガンで撃たれるのはとても痛いものと知っている君だけがたどり着ける世界からも見放されたのも漢字変換機能が欠如した血筋のなせる技と作者は確信しているが・・。





「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは博喜さん



自由詩 いつか花咲くDNA Copyright あおば 2011-09-20 09:33:18
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