漏日
岡部淳太郎

いちにちが
てのひらからこぼれ落ちる

肌をさす
いたいものは
ここの
目に見えないところにかくじつにあって
それはいちにちと一緒に
こぼれ落ちてはくれない

赤い夕陽が木々の葉脈を
透かしてさしこんでくると
誰もが道の上で
立ち止まって
わからなくなるのだ
みずからが過去の
ばらばらの思い出でしかないのか
それとも
いまここで
分裂し 融合しつつある
ひとつの大きさであるのかを

このようにして
いちにちが暮れて
その中に
隠れているだけの
時をすごしていると
みずからが
ひとつの大きな
てのひらからこぼれ落ちる
一瞬でしかないように
思えてくる

その時にはすでに
いたみもなく
わからなさもそのままで
何もなく
ただ 眠りのように



(二〇一一年六月)


自由詩 漏日 Copyright 岡部淳太郎 2011-09-01 17:35:25縦
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