天使と悪魔と山本さん
あおば

                110826


山本さんの奥様は
それはそれは奥ゆかしくて可愛くて声が良く
無口な山本さんの奥様にしておくのは惜しいと
陰口叩く人も居て
可愛い子と3人でいつまでもむつまじく暮らしておりましたで終わらないのが此の世の定め
悪魔に魅入られたのか知らないが
二人はいつのまにか別れ
3人は
バラバラになりまして
天使のように可愛い子はすくすくと育ち
いまでは社会の重鎮を担っているのです
それではここで問題をさしあげます
天使のように可愛い子は社会の重鎮を担うほどになりましたが
かっては羽振りも良かった山本さんは今どうしているのか
奥ゆかしい奥様は今どうして居られるのか
パントマイムで30秒以内に答えなさいと
黒い目出し帽の男がやって来た
風が吹き寒いときには覆面するよりも楽だから
目出し帽を常用しているわけで
他意はございませんと
3回ほど呟いてから
フルフェイスのヘルメットをかぶる
スモークのシールドを下ろしたから
目出し帽を被っているかどうかは余人は窺い知ることは出来なくなり
消息通にお伺いを立てて
始めて
事実を掴むことが出来るのさ
山本さんが今も
バイク便を走らせているかどうかも
分からないから
世の常として
入り口は細めに開けて
その侵入を拒むのですが
山本さんは
並はずれた
セイタカノッポなので
歩き方にも特徴があり
奥ゆかしくない人にもすぐに分かるのさ







「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、ぶるーびっとさん



自由詩 天使と悪魔と山本さん Copyright あおば 2011-08-27 11:07:48
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