天使を食べたい
薬熊

天使を食べたい

天使の血肉を貪りたい
身体の弱い天使 その上、均衡のとれた、成熟してゆく肉体

その捲くられた腕を、晒された頬を、耳たぶを、髪を、・・・・・・
そんなにも美しい姿をみせないで
わたしの隣に来ないで 
本当は、貴方の唇を求めているから

天使もあの背徳の行為をしているらしく
それならばわたしをも求めてくれやしないかと
教え込む、とは言わないから わたしで遊んで欲しいと
一度わたしは天使を冒涜し、捨てられたのだけれども
天使のその溢れんばかりの魅力に、眩む

天使は、弱い

なにもかもが優れている
「天使、」縋りたい
もう一度、天使に助けて貰いたいんだ 『慾』
きみを救うことはわたしにはできないと言うのか

好いてしまった
「優しくされてしまったのです。」
愛してしまった
「愛されてしまった。」

見附けてしまった
「天使の手の傷と脆さを。」
忘れてしまった
「天使と、私自信を見失い―・・・。」

わたしは無力だ
天使の前に在る揺るがない価値観に
日常を選択してしまうわたしはゴミ同然
汚物



自由詩 天使を食べたい Copyright 薬熊 2011-08-24 15:57:37
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