むなしいのさこの世界は結局
青木龍一郎
最近、世界どう?
パッとしないヨネ
変わらずの毎日
というか
ダダ漏れの日々
終わったゲームを続けてるみたいな
反現実の海
酔いが覚めないまま歩き続けるのが日課
過剰の演出で自らを盛り上げる
でもペラッペラ
嘘
完全なる虚無虚無虚無
退屈な魚釣りみたいな恋愛
片思いもしんどい
どんなに遠くへ旅に出ても変わらない景色
こう着してる脳内イメージ
頭の中で死んでしまったイマジネーション
価値を忘れた言葉
価値を嫌う心
何も無い海を泳ぎ続けるような
枯れた木に登るような
味のしないコーヒーをすするような
平凡な日なたにすら風が吹かない
続く曇り空
進まない時計
時間感覚に犯された腹時計は
今日も同じ時間に空腹を知らせる
パラシュート身に着けず乗った
スカイダイビングの飛行機
仕方なく飛び降りぬまま着陸して
みんな変な感じになる
腐ったご飯がジャーの中で
腐り続ける
老人が老人ホームの中で
老い続ける
電気をつけたのに
暗いままの部屋
でも目が闇に慣れてしまっている
見つからない懐中電灯
下がったままのブレーカー
何も聞こえないこの町のこの部屋で
ベッドに横たわり
空間を見つめている
どうしても世界が晴れない
どうやっても前に進めない
漕ぐのをやめてしまったボートは
永遠に湖面を漂い続けるだろう
向かい合って座った僕たちの会話も
永遠に弾まないだろう
池の中の鯉は一生エサをもらえないまま
静かに死んでいくだろう
水面に陣取る白鳥たちも
水中の中にいる誰かに足をおさえられているから
永遠に飛び立つことはないだろう
全てが固まってしまった光景を前に
僕たちはどうやって心を躍らせれば良いのだろう
絶え間だらけの会話の隅々にカビが生えている
跳ね返った水からきらめきが失われている
この間の町内会で誰一人笑わなかったのは
この町に何も面白いものが無いからだろう
人々は目の前に置かれた絵日記を
黒いエンピツでだけ描いてしまう
生まれたばかりの赤ん坊から
死ぬ直前の老人までが
言葉で祝福することを忘れている
慰めに笑ってみても
結局それは嘘であって
無いことを加速させる
無実を訴えることに疲れた人々が
パトカーに乗せられて
異国の刑務所に連れて行かれる
最後まで歯車が噛み合うことは一度も無かった
こんな世界だけど
これからもよろしくね
なんて言っても無駄
究極に問題外