坂の上にて 
服部 剛

「人生は、まさかという名の坂がある」 
ある日、同僚は言った。 

愛するひとと結ばれた僕は 
30年住んだ実家を出て 
12年詩を朗読していた店が閉まり 
10年働いた職場から異動になった 

「まさかという名の坂」を 
上り切った断崖に立ったら  
目の前には 
ましろい空間が広がり 
隣に、腹の大きい嫁さんが 
にこりと微笑んだ 

足元には只、一本のペンと 
空白の日記帳が、置かれていた。 






 


自由詩 坂の上にて  Copyright 服部 剛 2011-08-04 23:27:44
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