幸福について 
服部 剛

炎天下を汗だくで歩いて 
デパートに入ったら 
ひんやりとして、幸せだった 

しばらく涼んでTシャツの腕が寒くなり 
外へ出たら 
暖かくって、幸せだった 

人の幸せなんぞというものは 
人それぞれに勝手なもので 
かくいう私も、人であり 

「上辺の幸福」に麻痺した 
現代人の私は公園のベンチに腰かけ 
噴水の水の形を眺めつつ 
人の心の意識下に流れる 
(ひとすじの水)についてものを思い 
頬杖ついて 
ロダンになったふりをする 

目の前を、無邪気な足音が駆け抜け 
ふいに、顔を上げると 
若い母が幼い息子を抱き上げる 
「一枚の絵」が視えた 

ひと時、私の肩にとまった蝿が 
笑って何処かへ、飛んでいった 








自由詩 幸福について  Copyright 服部 剛 2011-07-18 22:49:43
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