窒素ガス
あおば

                   110714


単純な気候に憧れた猫の眼を考案して真空管ラジオに付けてみた
電源を入れるとみるみるうちに緑色に光り、選局する度に眩しそうに瞬く
これは素晴らしい実用新案は堅いと思ったら
1930年代には実用化され
殆どのラジオには採用されていたと知る
21世紀の今頃に気がついたおまえは何者なのだと
ジンギスカンのような強者に襟首をつかまれ
廃材置き場に投げ捨てられた
雨が降って地固まると聞いてはいたが
こんなに暑くては耐えきれない
かちんかちんに堅くなり
コンクリートのような硬度だと
歩きながら感じているが
数値化できないので万歩計にも嫌われて
休めの声に肩で息を整えてから
おもむろに窒素ガスを注入する


自由詩 窒素ガス Copyright あおば 2011-07-15 00:05:19
notebook Home 戻る  過去 未来