坂道
はるな
いくつもの賭けをした
あの坂道を
はやくのぼりきった方が勝ちだ
瓶入りのコーラを賭けて
角の犬に吠えられたら負け
一杯の牛丼を賭けて
先に恋人のできたほうが勝ちね
きれいなアルコールを賭けて
いくつもの眠りと、
いくつもの眠らない夜
意味のないここちよい会話と、
意味のない貴重な賭け
伸びてゆく手足と
次第に短く廻る季節
増えてゆく思い出と、
増えてゆく知らない互いの経験
いまでは
コーラも牛丼も
度数のきついアルコールも
いつでもひとりで手に入れられる
ねえ君
僕は言う、
最後の賭けをしよう
先に愛した方の負けだ
ねえ君、
君は言う、
先に死んだ方の負けよ
と