坂道
はるな


いくつもの賭けをした

あの坂道を
はやくのぼりきった方が勝ちだ
瓶入りのコーラを賭けて

角の犬に吠えられたら負け
一杯の牛丼を賭けて

先に恋人のできたほうが勝ちね
きれいなアルコールを賭けて


いくつもの眠りと、
いくつもの眠らない夜
意味のないここちよい会話と、
意味のない貴重な賭け
伸びてゆく手足と
次第に短く廻る季節
増えてゆく思い出と、
増えてゆく知らない互いの経験

いまでは
コーラも牛丼も
度数のきついアルコールも
いつでもひとりで手に入れられる

ねえ君
僕は言う、
最後の賭けをしよう

先に愛した方の負けだ

ねえ君、
君は言う、
先に死んだ方の負けよ





自由詩 坂道 Copyright はるな 2011-06-27 00:31:18
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