明日の音楽
服部 剛
仕事帰りに寄るレストランで
よく頼むキャベツの千切り
日によっていつも
ドレッシングのかけ具合が違う
毎日同じように見えるとしても
目の前にあるのは
一生に一度しか食べれない
「キャベツの千切り」かもしれない
毎日同じように過ごしていても
今日と全く同じ役者と場面で
織り成される一日は
二度と無いかもしれない
一日の仕事を終えて
いつもの夜道を歩けば
耳元に
囁く夜風が、吹き過ぎる
(日常の細部までも、
目
(
まなこ
)
を開け)
「今日という日は、一度きり」
と呟く言葉を、胸に刻み
目の前にある、いつもながらの
キャベツの千切りを
昨日よりもちょっと味わい
店内に流れるピアノ曲に耳を澄ませば
明日、織り成される一日の
きたいが胸に、ふくらんだ
自由詩
明日の音楽
Copyright
服部 剛
2011-05-24 23:59:35縦